出産の時に何故、助産師はずっといてくれないの?
多くの産婦さんは、出産時の耐えがたい陣痛で誰かにそばにいて欲しいと思いますよね。もちろんご主人やご家族がそばにいるとは思いますが、進行状況がわかる助産師にもずっとそばにいて欲しいと思います。
私達助産師ももちろんそばについて見守り、励まして一緒に出産を迎えたいと思っています。しかし出産時期はは度々重なり、入院している他の産婦さんも同じ気持ちでいらっしゃっいます。一人の助産師が数名の産産婦さんとも関わっている為なかなかずっと一緒にというわけにはいきません。助産師がいてもできることはご主人と同じ寄り添いと励ましだけです。だから何でも言い合えるご主人様やご家族様に陣痛時のマッサージや給水などのタイミングを伝授させて頂き、ご主人やご家族と協力のもと新しい命を迎えられるよう務めさせて頂きます。ご家族の力は助産師よりよほど頼りになりますよ。
また、『助産師が何もしてくれなかった。』と思わせてしまうのは、十分な説明がなされていないためですね。決して放置している訳ではありません。でも、助産師に出来ることはご主人や家族だからこそできるため、家族の関わりが産婦さんの力になるように助産師は説明し伝える必要がありますね。私もそのようにできているとは言いがたいので今後は気をつけたいと思います。
助産師はどんなことを伝えてくれるの?
分娩の進行状況や赤ちゃんの様子がメインです。赤ちゃんが狭い参道を骨盤の形に合わせながら胎位(赤ちゃん自身の身体の位置)を変えてゆっくり下がってきます。その際に赤ちゃんが骨盤に入りやすいように産婦さんの姿勢を工夫することはできます。ただ単に産婦さんの向きを変えているのではなく、解剖学的に分娩が進行しやすいように考えて伝えているのです。また、陣痛が弱くなると陣痛促進のツボやホルモンを刺激する方法を知っているので分娩進行促進の方法を伝えたり刺激したりといったお手伝いはできるのです。解剖学的な知識をどこまで伝えるかは別ですが、ご主人やご家族にも方法は伝えるので助産師でなくても十分なことができるのです。
助産師のすごい技!
助産師は内診と言って産道から指を入れて子宮の開き具合や柔らかさ、赤ちゃんの頭部分の位置関係と陣痛の強さからお産の進行状況が概ね把握できます。なので出産する姿勢を組むタイミングが分かるのです。出産する姿勢になるときは、概ね1時間内には生まれるであろうと予測して体制を組み始めます。助産師はたくさんの出産経験をしているので熟練した技術と判断から生まれるタイミングが分かるんですよ。『だったら時間を教えてほしい』と思う人もいるかもしれません。厳密な時間は陣痛の強弱により大きく変動を来します。強かった陣痛が疲労によって弱くなると、生み出す力弱いので想定していた時間が大幅に変わります。また、いつ頃生まれるかを伝えたとします。前述した陣痛の強弱により出産時間が変動するので、予測時間を超えて生まれない場合、産婦さんの心が折れてししまい気持ちでの陣痛促進効果が消失してしまうこともあります。なんといっても出産に挑む産婦の気持ちがポジティブでなければ、分進行にも大きく影響を与えてしまうのです。そういったことを踏まえながら助産師は総合的に産婦とその家族を支えて行くのです。
看護師と助産師の違い!
医療従事者としては同じです。注射も打てれば医師の介助を行います。
最も違うのは、看護師の資格を持って助産師となり、医師に替わって正常な分娩を取り扱えると言うことです。正常とは持病や出産に対してのリスクのない人リスクのない人の出産に携えるということです。多くの産婦人科では看護師と助産師がともに働いています。分娩介助以外の業務は概ね看護師でも助産師でも差はありませんが、より深く出産をはじめとする女性の身体の勉強をしてきているので、妊娠・出産・育児においては専門分野といえるでしょう。
総合病院とクリニック・助産院はどう違うの?
総合病院は産婦人科だけではなく内科・外科といった専門分野の集まる施設においての出産です。異常があれば様々な医師がすぐに対応可能なので、持病のある方や心配な経過に至りそうな方は総合病院でのご出産が良いのかもしれません。
クリニックは産婦人科のみのことが多く、妊娠・出産・産後や更年期障害などの女性特有の生殖器における診察が得意とする病院です。また、ベッド数も制限があり、専門科にのみ対応する医師が診察・治療を行っていることが多いです。
助産院は助産師が開業し、正常な妊娠・分娩・産褥への対応・処置を行います。また、分娩は助産師のみで医師の介入はありません。心配事や異常の経過が見られると連携している病院と連絡を取り、いつでも受け入れてくださる態勢を必ず持っていますので安心してください。また助産院では分娩件数もゆとりをもって関わっているので、助産師がじっくり寄り添ってくれるという手厚い看護も魅力です。地域における子育て相談での良き理解者といえるでしょう。
実は助産師はこんな相談ものれますよ!
妊娠・出産・育児だけでなく女性のライフサイクルにおいての専門職者ともいえるので、閉経時の更年期障害症状の相談や思春期における性教育やおもいがけない妊娠に対しての良き相談窓口にもなれます。とくに若年者の妊娠や思いがけない妊娠においての相談窓口が産婦人科受診となると足が向かないだろうなと思います。『まずは、話をしっかり聞いて欲しい。』『一緒に考えてもらいたい』といった相談者としての関わりを求めているのではないでしょうか。助産師には『傾聴すること』『共感できる姿勢』『良きアドバイスがでいる』が備わっているので一度助産師にご相談してはいかがでしょうか。